新年早々なんだかなーと思うことが仕事であり、年末に購入した数冊の本の中にこの文庫本がありましたので、迷路の中を彷徨うかのように読みました。いわゆる謎解きが進行していくわけですが、それとは全く関係ないところで、あーそうそう、と思うところがありましたので抜粋しておきます。 よくある話かもしれませんが、ある程度まとまっているものは多くはありませんので印象的でした。
MAZE (恩田 陸) page:164-165 の引用です。このまま数年もすると、世界は完全に二極化すると思うのよ。無論、超デジタルと超アナログの世界ね。恐らく、見た目にはむしろ昔に戻るかもしない。コンピューターはますます小型化していくだろうし、それまでは TV があってワープロがあって電話があってみたいに道具が機能ごとに分かれていたのに、全部一つで兼ねることができるようになるでしょう。モノが減って家の中はがらんとするし、町や道路は空いてくるし、都市機能が拡散していくから牧歌的な風景が戻ってくるかも。ハードもソフトもますます見えなくなっていって、ちっぽけな IC チップの中で全ての事象が処理されるようになる。デジタル化が進むと、むしろ世界はアナログ化してくるのよ。少なくとも、見た目はアナログ化してくるんじゃないかな。むろん、一時期はその反動がくるでしょう。かつてソローが「森の生活」で言ったりしたような、サブカルチャー的な「自然に帰れ」でも、環境破壊に対するエコロジー思想による「自然に帰れ」でもなくって、世界規模でそういう運動が起きるかもしれない。でも、それは今はまだその過程が目に見えるからだわ。そういう運動もデジタル化が進む過程だけのことで、更にデジタル化が進むと、みんな世界がデジタル化したことにも気付かないくらいになっちゃうんじゃないかしら。すると、今度はスピリチュアルな世界が訪れるような気がするのね
単行本の刊行が2001年2月なので、おそらく10年前に書かれたのではないでしょうか。 牧歌的な風景はまだまだ先の話かもしれませんが、現在ではコンピューターの見えない化は進み、3D TV や AR (Augmented Reality) のような見た目のアナログ化が進んできました。 スピリチュアルな世界が訪れるかは何とも言えない話かもしれませんが、2010年代の内にはデジタル化に気付かないくらいの世界にはなって欲しいなぁ、と思います。
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