2009年2月15日

正直とかじゃなくて焦燥感

イソップ寓話金の斧というお話があります。鉄の斧を紛失して、金の斧と銀の斧を見せられたものの、正直者のきこりは豪華な物には動じずに正直に自分の斧のことを申告した、という話です。狡賢いきこりが引き合いに出されて教訓を明確にしており、目先の利益ではなく正直な行いを諭すお話として有名です。幼い頃に得た知識ですが、今になっても多くの人が記憶していることと思います。 別に茶々を入れようという気はありませんでしたが、いざ自分がそれに類する状況になってみると、実は「正直」という気持ちはそんなに大きくないのではないかと思いました。ちょっと現実的に考えてみれば、鉄の斧で農作業はできますが、金銀の斧ではそうはいかないかもしれません。装飾品を換金してみたところで、その後の生活を賄えるとは限りません。あーいや、そうではなくて、単にきこりはその斧が大切だった、と。理由はともあれ。

先日、オリエンテーリング大会の打ち合わせで居酒屋さんに行きました。現金でも良かったのですが、クレジットカードで清算しました。よくある、お席で会計します、という方式です。カードを渡すと店員さんがレジで清算してきてくれて、カードと署名用の売上票を戻してくれます。 自分のカードは灰色、鉄の斧と同じ色です。ほろ酔い加減とはいえ、署名するときは総額と名前くらいは確認します。しかし、一緒に戻ってきたカードはなんと金色。鉄が金に変わってしまった瞬間です。この店はカードを使ったらゴールドカードにグレードアップしてくれるのか、と思ったかどうかはさておき、正直に申告しました。私のカードはこれではありません、と。待つこと10分。これは飲食代無料だな、と真しやかに話していると、無事にカードが戻ってきました。特に謝罪もなく。。。

正直に話す、というと何でもかんでも美徳のように思ってしまいますが、よくよく考えると単純に焦っているだけ、ということもあるもんだな、と再認識しました。他人のゴールドカードを使えるようになっても、トレードオフとして自分のカードを失ってしまうわけですから。

そうこうしながら、大会のプログラムは作られていくわけですね。

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